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執筆者の写真MEZZANINE

都市と人と新しい関係性論序章(3/4)

更新日:2020年9月23日

スタートアップ拠点都市徒然

ー スタートアップが好む街の条件

text:吹田良平

スマートシティには、公共安全だけでなく稼げる都市という可能性がある。街から吸い上げた各種データを連携して統合し、さらに流通させる基盤と制度を整備し、そこに社会実験ができる環境を加えると、それらを糧に起業家や企業を集められるかもとの皮算用が働く。でもそれだけで本当に彼らは集まるだろうか。

雇用流動性の高い米国のテック企業の間では、優秀なICT人材を確保するために、そうした人種が多く住む都市を選んでオフィスを移すという潮流がある。では優秀で革新的な連中はどんな都市を好むのか。彼らを輩出する大学の存在を前提としながらも、もう一つミレニアル世代が志向する価値観のひとつにオーセンティシティ(真正性)がある。きらびやかな化粧を施した空間よりも粗野で素材そのものを露出させた空間が流行ったり、シングルオリジンの食材や手作業によるスモールバッチの食材が流行ったのは記憶に新しい。

同じことは都市にも言えそうだ。要は華美過ぎない、誘客・集客し過ぎない、万人に媚びない、過剰にへりくだらない、おもてなしよりも対等性を習慣とする、近隣当事者が主に用足しする等身大の街に好んで住む傾向が彼らにはある。つまり本音で正直なネイバーフッド。データ駆動型スマートシティで採用されるコンピュータプログラムやアルゴリズムは、そんな非データセンシングの街で生まれている。





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