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  • 執筆者の写真MEZZANINE

スタートアップ拠点都市Beyond!(2/2)

更新日:2020年9月23日

text:吹田良平

GAFAの平均在職年数は約2年

 米国ニューヨーク市ブルックリンにあるスタートアップ・エコシステム拠点「ブルックリン・テック・トライアングル」が、同拠点内にオフィスを構えるスタートアップ企業を対象に行った調査がある。

 これによると、①従業員の過半数がブルックリンに在住している企業は全体の7割、②従業員全員がブルックリンに在住している企業も全体の3割、③企業の3割ほどがモノやサービスを主にブルックリン内で調達、④オフィスの所在地にブルックリンを選んだ理由は票数の多い順に、賃料の魅力(マンハッタンに比べて低い)、交通の便、街の雰囲気、同種企業の集積、とある。

 米国キャリアサービス大手paysa社の調査によると、GAFAの平均在職年数は約2年。この数字に象徴されるように、テック系産業は業界内、あるいはエリア内で高速度の動的平衡が繰り広げていることがわかる。正に生態系そのものだ。スタートアップ企業に限った同種調査は見当たらなかったが、テック系産業全般のこの極端な高流動型労働市場を見ると、少しでも長く社員に居続けてもらうために、あるいは優秀な人材を獲得するために、オフィスを構える街の性質が重要な鍵となる。


クリエイティブネイバーフッドの6つのC

 では、スタートアップや彼らと親和性の高い知識創造産業の担い手はどのような街を好むのか。まずは、アーバンネイバーフッドのグル、J.ジェイコブスの4条件、①機能の複合、②街区の短辺長(ウォーカビリティ)、③新旧建物の混在、④人口密度(セレンディピティ)。これらを土台にした上で、街のエートスとして、現代のミレニアル世代が好む3つの要素(3C)を加えていく。①キャラクター(街のキャラが立っていること)、②コンティニュイティ(室内外を区別せずオープンなこと)、③コネクティビティ(既存の繁華街と地続きであること)。さらに街のコモンセンスとして、ザッポス創業者トニー・シェイが取り組んだ都市再生プロジェクトのモットー、①コリジョン(衝突)、②コ・ラーニング(共同学習)、③コネクテッドネス(連携)の3Cを加味する。

 こうして出来上がった街をアーバンネイバーフッドと区別して、クリエイティブネイバーフッドと呼ぶことにする。そこは、安易な「交流」よりもむしろ、何かを創造するために自分の世界に没頭したい自立した者同士が、必要に応じて交わり相互作用を果たす、連携進化というコモンウェルス(共通善)をもつ街である。


Bat Haus,Brooklyn,NY photo:Shridhar Gupta on Unsplash
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